馬超と関羽を見送って戻れば、主君に呼ばれていた。
「お呼びですか。華林さま」
幕舎に入室すれば、主がそのすべらかな肌をすべて見せた格好で待っていた。
華林は寝台に足を組んで腰かけ、美しい笑みを浮かべた。
「気が変わったの。今夜は貴女を抱くわ。もともとそう言う約束だったしね。――それにお仕置もしないといけないし。馬超に喋っちゃったんでしょう?」
「申し訳ありません」
「服を脱いでこちらに来なさい」
「はい」
春蘭はためらいなく鎧と衣服を脱ぎ捨てる。
その一挙一動を見逃さないとでもいうような華林の視線が突き刺さる
そして寝台に上った瞬間、ふっと春蘭は優しい笑みを浮かた。
「良かったですね。華林さま。馬超を殺さずにすんで」
華林は馬騰の武とその人格を気に入っていた。
その馬騰の矜持を守るために、彼の息子を殺すことをためらっていたに違いないと春蘭は確信していた。
しかし華林の返事はないことで、春蘭は羞恥心を覚えた。
「申し訳ありません。出すぎたことを…」
俯く従姉妹に、華林は目を細めた。
「春蘭。貴女、関羽に嫉妬していたでしょう?」
その問いに沈黙を持って答える春蘭に、華林はフフフと笑う。
「愛紗の黒髪を褒めた時の貴女の瞳、嫉妬の炎で燃え盛ってたわ」
カッと春蘭の頬に朱が走る。
華林は顔を背ける春蘭の長い髪を梳きながら微笑む。
「忘れては駄目よ、春蘭。私は貴女のこの黒髪だって大好き。けれど貴女に求めるのは髪だけじゃない。貴女の武。比類ない忠誠心。私だけを見つめようとするその一途な心。私の心を察し、推察しようとする意思。それと」
「っあ」
密かに忍び混んでいた華林の指が柔らかな春蘭の陰部を刺激した。
「勿論その体もね」
華林が春蘭の肩を掴めば、くるりと態勢が逆転する。
「華林さま…」
押し倒されて期待に瞳潤む春蘭の唇を華林が重ねる。
情熱的に深い口づけをかわせば、もうお互いしか見えなくなる。
熱い舌を舌撫で回し、ざらざらとした質感に官能を高めあう。
熱い、二人の夜の始まった。
End
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境界、溶かすような接吻。
そして熱き慕情
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