獣も寝静まる夜更け。操は傍らで眠る狩人を見る。
逞しく太い首。そっと撫でて、こっそり牙をたてる。
しかしまったく吸血欲求がわかず、静かに牙を引込めた。

「……俺を吸血鬼にしたいのか」

寝ていたと思った狩人の隻眼がこちらをみていた。
操は苦々しく、彼を睨む。

「…お主は…儂に吸血鬼にされそうになっても抵抗しないのか?」

「…抵抗はする」

その瞳はしかし言葉を裏切ってる。
操は彼の反応に何故か無性に苛立った。
夏侯惇に馬乗りになって迫る。

「抱け」

「怒っているのか?」

「煩い。抱け」

夏侯惇は苦笑しながら、手慣れた仕草で操の寝間着をぬがした。
丁寧な愛撫で綻んだ秘所に、ほどなく男を埋込まれる。
思いのまま揺さぶられ、突き上げられ――操は絶頂を迎える。間を置かず夏侯惇も果てた。
折り重なる二つの荒い呼吸。
夏侯惇の体に抱き付いて呼吸を整えていると、すぐそばに夏侯惇の首があった。
汗が滲む首筋に再び牙をたてる。
けれど一向に吸血鬼としての本能が高ぶることはない。
むしろ吸血の欲が減った気がしてイライラと操は牙を離した。

「気がすんだか?」

「……お前のことを考えると何故か頭が痛くなる。気に入らないぞ」

「そうか」

夏侯惇は穏やかに微笑みながら操の後頭部を撫でる。
操は収まらない苛立ちに任せて、乱暴に夏侯惇の口を唇で塞いだのだった。

Fin


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