※家康×直政の性描写を含みます。
※途中で黒豊久召還の予定です。よって豊久×直政です。

というわけで直政受けが駄目な方はバックプリーズですぞ!






****






むっすりと豊久は座して声がかかるのを待っていた。

佐土原城から遥か遠い、今世の天下人の居城。
天下人直々の呼び出しに、遠路を経て豊久は江戸に来ていた。

此度の突然のお声がかりを豊久は怪訝に思っている。
大名島津に話があるなら、二人の伯父のどちらかがが呼ばれるはずである。南端の一介の領主でしかない自分が、一体何のために呼ばれたのか。
理由の見当がまるでつかないこと、待てども待てどもまったく音沙汰がないことに苛立ちが募る。
確かに相手と自分の身分差はいかんともしがたい。仕事の忙しさも察しよう。
しかし豊久はあちらの指定にしたがった日にち、時間に登城したのだ。待たせるにしろ一言あっても良いのではないか。

ため息をついて庭を眺める。
必要以上にごてごてしていない、簡素で涼やかな庭である。
庭だけ見れば、亡き太閤よりもよっぽども自分の趣味にあう。

この時、自分の心は少しだけ落ち着いたはずだ。

しかし遠くで陶器が割れるような音が響いて――恐らく城詰めの侍女が手をすべらせたのであろうが――その音が酷く豊久の癇に障った。


――呼び出していてこの扱い。島津を馬鹿にしているのか!!


苛立ちが爆発し、豊久は断りも入れず帰ろうとした。


不可解である。

豊久には短気な一面が確かにある。だが同じくらい我慢強さを備えている。一族のことを考えれば機嫌を際限なく下降させながらも、一日中でも待つことが出来たはずだった。
しかし何故か、この時は感情を押さえることが出来なかった。

勝手に退室し出口に向かおうとする。しかし足は『まるで何かの意志に操られているように』城の奥へ奥へと進み、ある一室の前で止まった。

戸から微かに漏れるのは、水音と艶やかな吐息。

普段なら思い切り眉をしかめながらも豊久は足早にその場を去ったはずだ。
ところが今回去るどころか襖に手をかけたのは一重に

「……いえやすさま」

と、聞き覚えのある声を聞いてしまったせいだろう。

そっと音をたてずにわずかに隙間を作る。戸の隙間から見えた光景に、豊久は衝撃を受ける。

豊久と恋仲――であるはずの男が、城主にその身を貫かれていた。


彼の肌は薄闇の中でもわかるほど、なまめかしくも紅く色づいている。
手と足を床につき獣の姿勢で、彼は身を震わせていた。

あまりといえばあまりの光景に目を背けて立ち去ろうとするのに足は動かず、吸い寄せられるように男の恥態を見る。瞳を逸らすことが出来ない。

「ぁ…ひっ……っ…お許し……っく」

所々不自然に詰まる声。
びしょりと濡れた頬が見えた。

――泣いているのか

豊久は二度目の衝撃を受けた。
見たこともない男の泣き顔。
それを自分ではない誰かに見せているのか。

どす黒い感情が豊久の胸に巣くう。

「駄目だ。気をやることも、肩を床につけることも許さぬ。耐えよ」
「ぁ…おゆるしくださ…ぁ、あぁ…ふっ」

許しを求めながらも、直政の腰は乞うように揺れていた。


その、ぞっとするまでの淫猥さ。

自身の体を支えるのも辛いのか、ぶるぶると肩や腕が震えている。
家康が揺れる腰をつかんで強く打ち込む。

「あぁぁ、ふぁ・・・!」

直政が白い首元をあらわに、背を大きく反らす。
傷だらけの胸元がいやらしげに濡れている。

「殿っ・・・!」
「良い、許す」
「うっ、んくぁぁ・・・っ!!」

一際高く啼いて、紅潮した肢体が崩れ落ちた。
達した後も強い快楽の余韻の中にいるようで、小刻みに震えている。口の端から涎をこぼし、かぼそい甘声を吐息に混ぜている。

「直政」

虚脱していたはずの体は、けれど主君の呼び声にしっかり反応する。
直政は目をとろんとさせながらも、心得たように――習性のように家康の股ぐらに吸いつく。赤い舌をちらちらとさせ、白濁にまみれた魔羅を清める。



豊久は顔を背けて、その場を後にした。



To be continued

>Back


10.10.21